
鋼管杭とは
鋼管杭(こうかんくい)
鋼→鉄
管→丸い
杭→杭
鋼管杭が日本で使われるようになったのは、昭和30年代後半からです。
鋼管杭の耐用年数は、最低50年はもつとされています。
地盤改良に鋼管杭を使用すれば、セメント系固化材を使用しないため土壌への悪影響を抑えることもでき、毒性を有する六価クロムが発生する心配もありません。

鋼管杭の特徴
①水平抵抗力が大きい
曲げモーメントに対する抵抗力が非常に大きい為、大きな水平抵抗力を期待できる。
②貫入性能が優れている
・幅厚比(板厚と杭径の比)が小さいので貫入抵抗が小さい。
・打ち込み工法では、材料強度が大きく頭部が破壊する恐れが少ない為硬い地盤でも打ち抜くことができる。
③溶接接合で長尺の施工が可能
・溶接することにより継ぎ足し(継杭)が容易にできる。
・接合部の強度が安定しているので長尺杭でも施工ができる。
④杭長の調節が可能
地盤の状況に応じて杭長を調整することができる。
⑤上部構造との接合が可能
上部構造のコンクリートや鋼材と容易に接合ができる。
⑥運搬・取り扱いが容易
破損の心配がない為運搬や取り扱いが容易である。

鋼管杭の製造方法
スパイラル鋼管
コイルを連続的に巻きもどしながらスパイラル状に曲げて円筒形に形成し継目の内外面を溶接する
- 自由な長さの管が得られる
- 同一幅の帯鋼でも螺旋巻きの角度の調節により任意の外径の管を作ることができる
- 帯鋼の両端にプレフォーミングを行うので、きわめて高い寸法精度と真直度、真円度が得られる
電縫鋼管(ERW鋼管)
所定の幅の鋼帯を、成形機で円筒形に形成し、電気抵抗溶接法により、継目を長さ方向に連続的に溶接して製造する
- 自由な長さの管が得られる
- 溶接は高周波電気抵抗により行われるので溶接部が均一となる
- あまり大径のものは得られない
UOE鋼管
鋼板の側面を開先加工したのち、端曲げ、Uプレス、Oプレスを行い、直線の継目を内外面溶接する
- 横継目なく長さ18m までの素管を作ることができる
- 全製品冷間拡管を行うので、溶接部の信頼性が高く、正しい外径と真円度の高い管が得られ材料の強化も行われる
- 降伏点を超える張力(水圧)を与えるので、溶接部の残留ひずみを減少するとともに溶接による脆性破壊をなくするのに役立つ
板巻鋼管
鋼板をピラミッド型の3本ロールにより円筒形に成形し直線の継ぎ目を内外面溶接する
- ロールの関係位置を調節することにより自由な管径や、板厚のものが得られる
様々な用途

- 道路橋基礎
- 鉄道橋基礎
- 立体交差部の橋脚基
- 橋脚基礎
- 橋台基礎
- 擁壁
港湾・河川分野の構造物の基礎

- 港湾構造物基礎
- 岸壁(控え杭など)
- 桟橋基礎
- ドルフィン基礎
- 防波堤基礎
- クレーン基礎
- 水門基礎
- 河川護岸
建築分野等の構造物の基礎

- 建築基礎
- 機械基礎
- タンク基礎
- 鉄塔・照明柱などの基礎
- 宅地擁壁
- 地下土留め壁
その他

- 地すべり抑止杭
- なだれ防止杭
- 擁壁基礎
施工方法とその特徴
打込み工法
打撃工法
ディーゼルハンマ、油圧ハンマ、ドロップハンマにより杭の頭部を打撃し所定の位置まで打ち込む工法
〔特徴〕
・従来から行われ実績が多い
・施工時に支持力を確認できる
・施工性、経済性に優れている
・無排土である
振動工法
バイブロハンマにより上下方向の強制振動を加え杭の周面摩擦力、先端抵抗を動的な摩擦力と抵抗力に減少させて貫入させる工法
〔特徴〕
・バイブロハンマの普及率が高い為汎用性に優れている
・打込み速度が速い為、施工性・経済性に優れている
・陸・水施工でクレーン加工ができる
・杭の制度修正が容易
・無排土である
埋込み工法
中堀杭工法
先端開放の杭の内部にスパイラルオーガなどを通して掘削しながら杭を所定の位置まで沈設した後、支持力が得られるよう先端処理を行う工法
〔特徴〕
・実績が多い
・低騒音・低振動である
・建設発生土が少ない
鋼管ソイルセメント杭工法
地盤にセグメントミルクを注入攪拌混合して造られた固化体及び球根と外面突起付き鋼管により構成された杭です
鋼管杭を固化体と同時に埋没する方式と固化体構造後に埋没する方法があります
〔特徴〕
・低騒音・低振動である
・低排土工法である
・鋼管と固化体の一体化によって高い支持力が得られる
回転杭工法
回転力を与える装置により杭を回転圧入し所定の位置まで沈設する工法 〔特徴〕
・低騒音・低振動である
・無排土である
・セメント処理を行わないため工期が短期
圧入工法
打設済の鋼材から得た反力により逐次的に鋼材を打設し鋼製壁体を構築する工法
〔特徴〕
・騒音・振動が極めて小さい
アンダーピニング工法
既設構造物の重量を反力に補強鋼管杭をジャッキで打設する工法